雨が降らない1月の成人式の日。林は、三上建一という48歳の大手企業のサラリーマンからの相談を受けていました。大手企業の課長です。年収は1,000万円ほど、東武東上線の和光にマンションを持ち、高校生の女の子と男の子の2人の良きお父さんです。3,900万円で10年前に自宅を購入、月の返済は13万円、順調に生きているようにみえます。
隣にいる妻の美代子は44歳。なかなかの美人さんで教育熱心なお母さんにみえます。
子供2人は、私立高校に通っていて、お金もかかるでしょうが、1,000万円の年収があればたいしたことはないでしょう。
美代子は親の影響もあり、書道3段で池袋のデパートの仕事で、贈答品の氏名を書いているようです。週3日5時間、暇つぶしにパートに行っているようです。
2人の生活からは、近所の人が見たら想像できない話を林は聞いています。
「林さん、江上さんからの紹介で、忙しいところをすみません」
と水曜日の18時に会いました。池袋の西口の喫茶店で夫妻は、
「家を買った次の年に、投資用マンションを1軒買ったんです。大阪なんですけど、2,000万円です。それから5年間に5軒買ってしまって、総額で1億円位です。2軒が大阪、3件が福岡です。借入先は、C銀行とF信販で月48万円です。家賃はサブリースの契約をして管理会社に任せているので、最初は35万円位入ってきたのですが、今は30万円以下です。」
と話し始めました。林はいつも通り、ノートをとっています。
「最初は会社に電話がかかってきたんです。仕事中だったので、長話はせず断ったんですが、1時間後にまたかかってきたんです。断るとまたかかってきまして、仕事中なので“やめてくれ”と言うと“一回でいいから会ってくれれば、会社には連絡をやめる”と言われて、仕方ないので池袋で会ったんです。この近くの喫茶店でした。若い人と40歳前後の人が2人で来ましてね。19時に会って、23時までですよ。買う気はないと何度も言ったのですが、“今日は遅いから明日会社に連絡します”と言われ、もうイヤになりましたよ。」
「それで、年金のつもりで80歳位になれば、毎月7～8万円入って来るとか、税金が還付されるとか、言われたわけですよね。」
と林が言うと、
「そうです。その通りですよ。」
という三上に妻の美代子は、横からきつい眼でにらみます。
「話が長くなりますから、結局、根負けして買ったわけですね。」
「ええ。それと若い方の坂井とかいう人が、泣きそうな声で、買うとも言ってないのに、“ありがとうございます。長い時間、付き合ってもらえてこれで私も退職しないですみます”とか、言われてしまって…。」
「そうですね。私も収益物件は何件もやっているのですが、最高の人は、18軒持っていましたよ。九州の医者ですけどね。物件は大阪と兵庫です。最初に聞いた時は、よくまあここまで買ったものだと思いましたね。次が8軒、この人は大学の教授ですよ。しかも山口の人で、物件は札幌、函館ですよ。18軒の医者は毎月30～40万円、固定資産税・都市計画税など入れると、年間500万円以上の持ち出しです。借金の総額は、3億以上ですよ。債権者も5社です。ひどいものですよ。狙われたわけですよね。私の知り合いの若い子で、そういう所に勤めている子がいて、大学出てすぐ入ったのですが、50～60人採用して、1年目で半分、3年で5～6人になるそうです。それはひどいもので、朝から夜まで電話をかけっぱなしです。脈があると、先輩が代わるんです。その日の夜会って、早いとその場で契約です。ローンは彼等があの手この手でつけてしまいます。


電話はこちらへ0120-888-349
メールはこちらへ
ご相談は任売コーディネイト９９へ